それって日本食?
ニューヨークで出会った友人たちは、日本食を大絶賛してくれました。
「日本が大好き」「お寿司が大好き」と言ってくれて、
私は誇らしく、とてもうれしく思いました。
しかし、よく話を聞いてみると、彼らが好きだという日本食やお寿司は、
アメリカやそれぞれの母国で、現地の好みにアレンジされたものばかり。
日本で私たちが食べている味とは、全く違うものでした。
こんなに日本の料理が好きだと言ってくれているのに...
うれしい反面、正直ショックでした。
いつか海外で、私たちが普段食べている日本の味を、海外の人に伝えよう。
そう心に決めた出来事でした。
プロではない、私だからできること
2016年、ワーキングホリデーでカナダ・トロントへ渡りました。
目的は日本の家庭料理教室を開くこと。
現地では「YASUNA COOKING」を主宰し、食を通した国際交流を始めました。
私はプロの料理人ではありません。
だからこそ、プロではない私にできることは何かを考えました。
そこで思いついたのが、「家庭料理」です。
日本人だって、毎日お寿司や天ぷらを食べているわけではありません。ごはんとお味噌汁と、おかず。
日本の家庭で日々食べられている、「いつものごはん」には、
レストランでは味わえない、日本の暮らしや文化が詰まっていると思ったのです。
答えられない質問がいっぱい
日本人なら疑問にも思ったことがないような質問が、たくさん飛んできました。
「醤油はどんな場所で作っているの?」
「どうやったら、自分好みの味のものが買える?」
ネットで調べれば、調味料の原料やつくり方はわかります。
しかし、どんな場所で、どんな道具や設備を使って製造しているのか。
土地ごとにどんな違いがあるのか。
当時の私は、それらの製造現場へ行ったことがなく、
それ以上の話ができませんでした。
日本の食を伝えたいと言いながら、日本のことを何も知りませんでした。
今なら、背丈を超える大きな木桶で仕込む醤油蔵の話ができます。
その木桶をつくれる職人が少なくなっていることも。
そう話せるのは、自分の足で作り手を訪ねてきたから。
現場に足を運び、この目で確かめてこそ、わかることがある。
トロントでの悔しさが、「やすなの食探検🔍」の始まりでした。
当たり前の暮らしは、誰かにとって価値がある
そして、トロントではもうひとつ、大きな気づきがありました。
海外に日本食レストランはたくさんあっても、日本の家庭料理は、
日本人とのつながりがなければ食べる機会がありません。
お金を払っても味わえない、特別なものなのです。
自分にとっては何気ない毎日のごはんや暮らしが、
誰かにとっては新しい世界への入り口になる。
それぞれが持っている知恵や経験が、誰かの価値になり、
社会との新たな接点を生み出していく。
そんな無限の可能性をトロントで実感しました。